アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その785 日本語の難しさ の巻

 昨晩、インドネシア、タイ、フィリピンから来ている日本語教員の方々と夕飯を食べました。その中で面白い話がでました。

「この前、オーストラリア人の日本語教員のプレゼンテーションの中で、こんなことがあったけど、本当に正しいですか?」
というので、話を聞いてみると、
「これは本当に便利ですか?」という質問に対する答えで、「これは便利ではありません。」というのが正しい答えだ、という解説を受けたのだとか。そこで、東南アジアの教員たちが、
「なぜ、”不便”という言葉があるのに、それを使わないのですか?便利ではない、つまり不便だということではないですか?」
と質問したそうです。

 すると、オーストラリア人の教員は、
「否定形は、”ではない”を使うべきで、不便という言葉は本当にあるんですか?今、初めて聞きました」
と答えたのだとか。

 そこで、管理人ともう一人の日本人は(注:二人とも普通の日本人で日本語教師ではありません)はたと考えました。

「”ではない”をつければ確かに否定の意味が成立する。とはいえ、すべてそれが可能かといえば、それも間違っている。日常の日本人の会話では、便利かどうか聞かれて、便利ではない、と答えることもあるにせよ、”不便”なんですよということが多いようにも思う。さっきの質問に対して、”便利ではありません”と答えると、いかにも日本語を習って話していますという印象がある???あっはっは。。。」

 例えば、「それは可能ですか?」と聞かれて、「可能ではありません」とは答えないでしょう。むしろ、「不可能です」と言いそうな気がします。「自然なことですか?」「自然なことではありません」というのかな?普通は、「それは不自然です」と言いそうです。“不”も、何にでも使える訳は無いですね。我が家の僕ちゃんがまだ小学校低学年のあたり、何かで”不”という言葉を覚え始めたころ、
「勘弁してよ〜〜〜」といったら、「それは不勘弁!と断言して大笑いしたことがあります。

 ところで、もしも日本語学習者に、否定の意味を作る方法として、”ではない”をつける方法を提示して、その練習を反復していると、なんでもかんでも”ではない”をつける間違いを起こしそうです。
 かといって、様々な例をあげると、混乱するのかな?(笑)

 それにしても、昨日のタイ、インドネシアの教員は、日本語に関する知識が深く、探究心が強いなあと感じました。タイ、インドネシア、フィリピン、オーストラリアのすべてに共通することは、みんな非漢字圏であること。

 我々は日本語を、音で味わい、目で味わうことができますが、非漢字圏の人たちにとっては、最初は音が唯一の手がかりですね。