アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その814 ホムカミ の巻

 最近、外国生活を紹介する番組や、日本にいる外国人の故郷を紹介する番組が多いですね。昨晩観たホムカミもその一つ。在日外国人の故郷にいる家族を訪問する番組です。

 昨日はインドネシアの東部に位置するマルク地方のお話でした。故郷の家族訪問をしたセラム島出身のインドネシア人女性は、日本に来てから13年間、里帰りをしていないという話。

 13年というのには意味があって、実はマルク地方でも大きな街アンボンというところは、スハルト政権時代に民族、宗教紛争が起こり、非常事態に陥った地域です。ことの発端は、もっと東の東南マルク州にあるアル諸島のドボという小さな漁村でした。当時、インターネットが日本でも流行りだしてメーリングリストなるものもできた頃。
 管理人が参加しているメーリングリストから、「アル諸島ドボで暴動発生」というニュースが配信されてきました。ドボといえば、管理人も20年以上も昔何度か行ったことがあり、住んでいたこともある漁村。にわかに信じられないニュースでしたが、その漁村での暴動はすぐさまおさまりました。しかし、それが近隣の島々飛び火して、アンボンでは大騒動に発展。日本のテレビニュースでも報道されていたほどです。
 アンボンはオランダの植民地時代にオランダ人から寵愛された地域で、人々もインドネシアには珍しくキリスト教が多い地域です。一度、大晦日にアンボンに居合わせたことがありますが、新年を迎える元旦0時には、街中の教会が高らかに鐘をならし、世界最大のイスラム教徒を抱える国とは思えない異国情緒漂う雰囲気に感動したのを今でも覚えています。
 
 そんな穏やかな街で、あの凄惨な紛争が起こるとは思いもしませんでした。今は、もうそんな地獄絵のような時代を乗り越えて、平穏さを取り戻し人々の日常が営まれているようです。

 管理人は一度、アンボンに1ヶ月足止めをされたことがありました。理由は、アンボンより先へ行く飛行機が故障、さらに船もドック入り。最後には仕方なく、国立大学が所有する飛行機をチャーターし、オーストラリア人パイロットの操縦でアル諸島へ移動したことがあります。とんでもない出来事で、当時は「インドネシアってなんなんだろう???」と思っていましたが、今となってはそれも思い出の一つです。

 昨日の番組では、セラム島まで日本を出て3日かかるといっていましたが、実際にはもう少し時短で来そうな気がします(笑)。といっても、最低2日はかかるでしょうね。
 
 もう二度と行くことはないアル諸島ですが、最近、時々アル諸島での水上家屋生活を思い出したり、買い物に行くにもスピードボートを出して、近隣の集落へ行ったこと、具合が悪くなって、これまたスピードボートで隣の島から看護師を呼んできたことなど、懐かしく思い出しています。

 あれから20年も経った今、きっと当時管理人が見た風景は、かなり様変わりしていることと思います。何より、昨日の番組でも、セラム島の人々が携帯電話を使っていることが、インドネシアの津々浦々まで近代化の波が押し寄せていることを実感させます。

 いつの世も、平和が一番です。同じあやまちを繰り返さず、マルク地方の人々が平穏な生活をおくれますように。