最近、日本ではイスラム教徒の観光客増加に伴い、ハラールに着眼したビジネスを展開しようという動きが激しいです。でも、管理人はこの件については、どうなのかな?と疑問を感じます。
そもそも日本人は、イスラム教と言わず、宗教に関する知識や日常体験が極端に少ないと思います。とってつけたように、「イスラム教徒はハラールでなければ食すことができない」と、その部分だけを取り出して、じゃあ、これはビジネスチャンス!と飛びついているだけに過ぎないと思います。
そもそもが観光客対応ということから始まった話ですが、最近では自治体が「おもてなし」と称して、イスラム教徒向けの食材や調理方法、また加工品へのガイドラインめいたものを紹介する講座まで現れています。
先日、その種の講座を受講してみました。印象は、「イスラムでは、これはだめ、あれもだめ、このお菓子もだめ、この調理法もだめ、この食材もだめ、これを嫌う、あれも嫌う、お祈りをする場所も用意した方がいい。。。」と、とにかく一言でいえば「めんどくさい!」という印象を与えるに過ぎない講座でした。
さらには、「マレーシアの客に日本人形をプレゼントしたら、ありがとうとは言われたが、その後、これは偶像であって、イスラムでは偶像崇拝は禁止されているから受け取れない、と拒否されたというきわめて個人的な判断による人形拒否の話までが、イスラム教徒に通じるタブーとして一般化したような説明までありました。
日本人形を偶像というなら、マレーシアには街中に歴史の一部をイメージした人間の像や、英雄などの像はいっさいないのか?と言えば、ありそうな気がします。
インドネシアでは、ジャカルタをはじめ、街中のいたるところに、英雄の像があり、またジャカルタの目抜き通りのロータリーには、両手を広げた人間の像「歓迎の像」なるものもあります。
ビジネスチャンスを開拓するのはよいことですが、どこまでをビジネス化するのか、そこが曖昧なままで着手するような事案ではないように思います。こと、イスラム教関連は。
日本に観光旅行しにくるような人たちは、極端にイスラム教徒の戒律を振りかざすようなことはないように思います。そんなことをしていたら、観光どころではなくなりますね。
よくある話で、マレーシアやインドネシアの観光客がツアーで温泉に宿泊した場合、全裸で風呂に入れないというので、タオルをまく、あるいは服を着たまま入っても良いか?という質問。温泉側は「それはできません」と断るケースがほとんどです。日本人が聞けば、当たり前でしょうと思います。それでは観光客はどうするか?諦めます。これも当たり前です。
でも、先週の日経新聞では、「着衣のまま入浴可」をはじめる施設も出てきたとか・・・。詳細は未確認ですが、きっと入浴専用のタオルか浴衣のようなものを用意するのではと思いますが。
世界は特定の思想に基づいた環境にないということを知ることも必要です。それは、誰が、どの宗教の人が、どこに行っても同じ事です。その場、その環境で果たせる最大限の義務を果たせばいいのではないかと思いますが、これもやはり管理人自身が比較的戒律が緩い環境にいるからでしょうか。
ところで、ハラールを考えた時、ではユダヤ教のコーシャルミールは?と思いました。飛行機で出される機内食では、食事のサービスの際に他者とは違った光景があるといいます。乗務員がユダヤ教徒ではない場合、機内食をセットするのも、客の意向を確認してからのようです。ふたは客自身が自分であけるのか?などなど質問するらしいです。しかも、コーシャルミールは厳重に封がされていて、間違いなくコーシャルミールである証がシールされているらしいです(ちなみに、ユダヤ教徒ではない人でも、事前に予約すればコーシャルミールを食べられるらしいですし、エコノミークラスでも一般食より豪華だという噂もあります:笑)。
もしも、仮に一気にユダヤ教徒の来日観光客が増えたら、ユダヤ教の戒律カシュルートを採用したビジネス展開をするのでしょうか?
話は戻って。ハラールビジネスでも、管理人は日本に来るイスラム教徒対応のビジネスよりも、ハラールが条件である地域への日本製品を輸出するビジネスの方が面白いように思います。食材、食品、化粧品、薬品、衣類などなど。世界中で日本製品が多様は分野で流通することのほうが、面白みがあると思います。