アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その197 ETV特集・選「よみがえる戦場の記憶〜新発見 沖縄戦600本のフィルム〜」 の巻

 特集番組を観ました。沖縄の話です。65年前の沖縄戦を記録した600本のフィルムがアメリカで見つかったため、NHKが2年の年月をかけて、フィルムの内容を検証したことを中心に、現在お元気で生活していらっしゃる沖縄の戦争体験者へのインタビューなどをまとめた番組でした。


 昨年6月、管理人は沖縄本島渡嘉敷島へ旅行しました。梅雨明け直前の沖縄でしたので、雨も多く、蒸し暑い毎日でした。


 知人が那覇におり、その方が手配してくださった現地ツアーなるものは、なんと戦跡ツアーでした。東京での人間関係や、仕事のあれこれから解放され、気分転換にトロピカルな空気を感じたくて行った沖縄でしたが、予想外の展開です。

 たまにテレビなどで見る沖縄戦の様子でさえ、あまりにも衝撃的で、管理人には直視できないものだと思っていたので、できれば違ったものをみたいと思っていました。とはいえ、もう既に手配済みでしたので、流れにのって行くしかなかありませんでした。


 このNHKの特集番組の中でも表現されていたむごたらしい光景は、その戦跡ツアーでもまざまざと見せつけられ、沖縄に降り立った初日から、大変重苦しい気分になりました。


 沖縄滞在中、そこかしこで戦争の話や戦争を思わせるものがあり、
「戦争を体験していない我々若い世代は、戦争は他人事のようなとらえ方をしているけれど、沖縄の人たちにとっては戦後何十年といっても、決して戦争が終わったわけではない」
と確信しました。


 ところで、番組の中で、記録フィルムをみながら、
「あれは自分じゃないか?と思う」
と言った女性や、
「この老人二人は親戚のおじいとおばあだ。」
と言う高齢者の方々の心は、どんな気持ちだったのだろう?と考えると、胸がつまります。


 できれば思い出したくない光景だったかもしれないことが、まさか65年の歳月を経て、動画として記録が残っているものをみるとは思いもしなかったことでしょう。


 孤児になってしまい、孤児院に収容され、その後、いくつかの家庭を転々とした女性が発した、
「小学校の1年、2年生くらいまでは学校へ行かせて欲しかった。自分はどこから来たのか、自分の本当の名前は誰なのか?知りたい」
という言葉は、この方が歩まれた幼少期の苦労を余すところなく表現しているように思いました。


 戦争は、何もよいものをうみださない、なのに、世界中で必ずどこかで誰かが戦争、紛争の状態にある現在。どうすれば平和で共栄共存できるのか、真剣に考えなければならないと、あらためて考えさせられた番組でした。