アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その262 日本人の命への尊厳 の巻

 連日、東北大震災の救出、復興作業を報じるマスコミに、残念ながら地震津波の犠牲になって亡くなられた方の遺体を運ぶ救助隊の様子が報じられます。犠牲者を発見し、その方を運ぶ前に手を合わせる姿や黙祷を捧げる姿は、中国四川大地震の時もそうでしたが、外国の人の目には彼らが持っている文化とは違うものとして映るようです。

 私たち日本人は当たり前のように行う死者に対する沈黙と祈りは、たとえその人にこの世的な命がもうないとしても、残された者は最大最高の敬意をもって、亡くなった方を見送る姿勢です。亡くなっても、その方が人として生きた証と、その方の痛みや苦しみ、無念さを一瞬でも分かち合い共有する思いのすべてが凝縮された姿だと思います。

 復興作業が思うように進まなくても、1人1人の犠牲者に思いをよせ、丁寧に接する姿は、日本特有の習慣であり、民族性であるように思います。

 よく日本人は自分の考えをはっきり言わない、わかりにくい、とマイナス評価を受けることがありますが、物言わずして、しかし思いのたけを「沈黙」というかたちで表現することが、多くを語るより「雄弁」であることを考えさせられます。