アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その1869 インドネシアのある家族クラスターの闘病記 の巻

 先週末、インドネシアに住んでいる人からコロナに感染したと電話がかかってきました。家族5人全員が陽性で、うち夫婦はやや症状が強く出始めているので、自主隔離ホテルに入って隔離生活を始めたというのです。他は無症状、もしくは極微症状なため自宅で隔離しているものの、3人とも別々の部屋で相互に行き来しないように生活を始めたと。

 土曜日の時点では、夫の方はまだ元気な感じがしましたが、声が鼻声。妻の方は、結構咳が出ている感じでした。二人とも発熱があり、検査データの状態から医師が処方した薬を飲むとのこと。

 日曜日、夫の方はややハーハーした感じの話し方だったものの、妻の方は、かなり咳がひどくなっている感じ。熱は解熱剤でコントロールできていると。

 

 月曜日、夫婦ともなんとなく前日よりも回復しているかのような印象を受けました。

 

 火曜日の朝、妻の方は症状や状態がやや安定傾向に入り、よくなっている気がするというものの、夫の方は、熱が上がり下がりして、解熱剤が効いている時間が短くなってきたと。呼吸も苦しそうだと。病院に入院すると、家族と完全にコンタクトできない状態になり、また、今どこの病院も患者が多すぎて医療スタッフもてんてこまい。十分な看護をしてもらえないという恐怖から、ホテルから自宅に帰り、在宅で治療を受けることにしたと言ってきました。ホテルでも医師の往診ができないのかと思ったら、医師たちは可能というものの、ホテル側が防護服を着た人の出入りに抵抗があるという話。でも、そのホテル自体、隔離ホテルになっているのだから、変な話だなぁと思います。

 火曜日の午前中、ホテルをチェックアウトして帰宅。夫婦とも医師の往診を受け、症状が悪化している夫の方は、本格的な治療開始。

 点滴、酸素マスク装用、24時間体制で看護する看護師が泊まり込み体制。

 

 水曜日(今日)の明け方、妻がSNSで夫の状態が悪く、呼吸もかなり苦しそうで怖いとメッセージを送ってきました。その時管理人は、妻はSNSを送ったり読んだりする気力と体力が戻ったのだと判断しました。一方の夫の方はかなり症状が進んでしまっているのだと考えました。でも、どうしてあげることもできず、ただただ励ますしかできないもどかしさ。

 

 酸素吸入は在宅治療の場合、酸素ボンベは各自で用意するものらしく、大きいボンベ(どのくらいの容量か聞いてません・・・)は、夫の場合、全開で使用しないといけないとかで、4時間しか持たないと。小さいボンベは1時間。ということで、昨晩、そんなこともあろうかと思い、症状がほぼなく、元気にしている子供に、可能な限りの酸素ボンベを買い集め、家にストックしておくのがよいのでは?とアドバイスしました。夕方から夜にかけての数時間、町中を駆け回り、大きいのを5本用意したそうです。

 今、インドネシアの感染が極端に広がっている地域では、酸素ボンベを買うことが難しいそうです。そんな中で5本とは、かなり頑張ったと思います。

 

 管理人は、妻の方のSNSと元気な長男の電話でしか情報を得られないので、なんとも難しいのですが、長男さんは大学生とはいえ、かなり頑張っている様子。とは言っても、彼も陽性者ではあるので、疲れたら一気に症状が出たとならないか?心配でもあります。

 

 インドネシアのコロナ感染者の治療では、アビガンが結構メインに使われる薬のようです。この家族の場合も、妻が最初の頃に、

「日本の薬のようです。」

と写真を送ってきました。

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 このアビガンの他に、抗生物質、ビタミン剤等のサプリメント系のものを処方するようです。それと、海外で話題になっているイベルメクチンも服用する患者さんが多いようです。そして、結果的にはこれらの薬で乗り越えて回復する人がとても多いのだとか。

 

  基礎疾患がある人は重症化する傾向が高いとはよく言われることですが、一見体力もありそうな夫の方が最初は元気だったのに一気に悪化し、最初はかなり咳き込んで苦しそうだった弱そうな妻の方は案外早い時期に回復の兆しが見えています。これは運というしかないのか、ちょっとわかりません。

 

 今後も、しばらくの間はこの家族のメンタル面のサポートをするつもりです。

 

 ここで日本との大きな違いを感じます。日本は、自宅療養か隔離ホテル待機、もしくは入院ですが、自宅に点滴や酸素ボンベ、そして24時間専属の看護師が泊まり込んで、常時医師と連絡をとりながら看護するなんてことは聞いたことがありません。

 どんなに費用がかかろうとも、経済力があればインドネシアではこんなやり方の治療も受けられるのですね。入院を極力避けたい、最後の最後の選択肢にする理由は、個室はまず取れないので相部屋に入り、相部屋も患者が多すぎると定数以上の患者を入れるようになり、四六時中重症化した患者仲間を左右に見ながら、次々に亡くなっていく環境に身を置くのは、かなりのダメージ、精神的に折れてコロナと戦う気力が失われ、結果的にみんな弱ってしまう。家族とのコンタクトもできず、万が一の場合も家族が看取ることもできず、行政の方で埋葬を完了させる、そんなのは嫌だというのが、入院を選ばない理由だそうです。

 

 何はともあれ、この家族、1日も早く回復してほしいです。この頃、ジャカルタの友達の兄弟が相次いでコロナで亡くなったと連絡が入り、管理人はインドネシアからのコロナ関連の知らせに対してかなりトラウマです。

 

 インドネシアは想像を絶するような医療崩壊が起こっていて、病院にも頼れない、かといって自分だけでなんとかできるものでもない、という最悪な状況に陥っています。

 

 ところで、この人たちが家族クラスターになったのは何故か?と思いました。すると、住み込みの家政婦さん4人のうち2人が、あれこれ理由をつけて帰省したいといい、雇い主である夫婦は、感染リスクが高いから帰省してはいけないと強く止めたそうですが、それを聞かずに帰省。田舎ではマスクもせず、あちこちで歩いたそうで、この夫婦の家に戻って少しすると、二人とも、咳、発熱が始まったそうです。その時点で、抗原検査をしたそうですが、陰性だったとか。そうこうしているうちに、妻の方は咳が始まり、夫は匂いと味がわからない症状が出て、すぐにPCR検査を受けたところ、陽性だったとか。

 住み込みの家政婦さんが帰省する、どうしても帰省するというのなら、管理人だったら、悪いけどこの人たちは解雇して、戻ってこないようにしたと思います。今、コロナ禍で失業している人が多いので、次の家政婦さんを探すのも、そう難しくないように思うのですが・・・。

 

 とにかく、1日も早くこの家族が快癒、日常を取り戻せますように、そしてコロナ蔓延が早く治りますように。祈るのみです。