アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その1278 3つの時代を生き抜いたインドネシア人 の巻

 昨日、南スラウェシの州都マカッサル市の老夫婦を尋ねました。お二人とも95歳のご長寿さん。もう何年もあっていなかったので、管理人をまだ覚えているのか?と思いながら、おたくにお邪魔してみました。



 インドネシアが独立して72年。このご夫婦はオランダ時代、日本占領期、独立後のインドネシアを生きたインドネシアがたどった軌跡の生き証人のような存在です。

 オランダ時代のマカッサルは、インドネシアの都市の中でも主要な港町であったことが、今もなおオランダ時代の面影を残す理由でしょう。それでも、管理人が思うに、この30年でこの街も大きく変わりました。歴史的建造物が少なくなったような気がします。

 さて、このおじいちゃんとおばあちゃんの話に戻ります。子供の頃、お二人ともオランダ人とともに学校に通ったので、オランダ語で教育を受けた中国系インドネシア人です。家庭の中でもオランダ語を使って生活しているので、管理人とはインドネシア語で会話しますが、お二人はオランダ語も使って話しています。

 現役時代は、オランダのある会社のディストリビューターとして財をなし成功した人の一人だと思います。

 お二人の馴れ初めを聞いたことがなかったので、昨日は聞いてみました。ある会社で働いていた女性がのちに奧さんになったこのおばあちゃん。ある時、友達の家に行くと、おじいちゃんが出入りしている会社で働いていたあの女性がいたそうで、なんとそれは友達の妹だったのだと、照れながら話していました。
 カトリックのおばあちゃんと、パンテコスタのおじいちゃんで、結婚には宗派が違うことが大きな障害になったとおっしゃっていましたが、障害を乗り越えて結婚、6人の子供に恵まれたそうです。若い頃は、東ヌサトゥンガラ地方やマルク地方で仕事をし、最後は生まれ故郷のマカッサルに戻ったと、懐かしそうな口調とお顔で語ってくれました。

 おじいちゃんは、中国系といっても何代も代を重ねた古い華人です。土地の女性と結婚した先祖がおり、純粋な中国人ではないようですが、この土地の文化、言語の伝承にある種の役割を果たしたとも言えるのではないでしょうか。

 突然の訪問で、どんな反応をするだろう?と内心心配でしたが、
「思い出して訪ねてくれてありがとう。嬉しいよ・・・。」
とご夫婦共終始笑顔でした。

 インドネシアの3つの時代を生きるというのは、語らない苦難、苦労もあったと思いますが、少なくてもひたむきに生き抜いたからの笑顔だと確信しました。
もうすぐ100歳。頑張ってまだまだ長生きしてほしいです。