アジアな空間

日常の出来事や、アジアに関することを書き綴ります。

アジアな空間 その98 ETV特集「中国残留孤児 夫たちの歳月」 の巻

 夕べ、途中からETV特集「中国残留孤児 夫たちの歳月」を観ました。満州で生き別れになった二人の姉妹が、結婚後再会、妹が先に日本へ帰国、続いて姉も日本へ帰国。それぞれ夫と一緒に帰国した残留日本孤児とその夫の物語。

 中国残留孤児のことが日本で取り上げられるようになって、ずいぶん長い歳月が経っていますが、今も残留孤児とその家族の人生は、それぞれの地で、さまざまな人生模様を綴り続けている現在進行形です。

 この番組のモデルになった日本人姉妹とそれぞれの夫である二人の中国人男性。妹の夫は、今まで妻に何もしてあげられなかったことへの後悔と、妻が日本へ帰国するなら自分も一緒に日本へ渡り、妻のために自分が料理をして食べさせてあげる生き甲斐、楽しみを見つけ過ごしている様子。一方、姉の夫は、どこか日本になじめない様子。来日二週間で、夫の兄弟の病気と春節を迎える時期、さらに中国に残した娘が気がかりと、複数の理由をつけ、中国へ身内の様子を見に一時帰るといい、数ヶ月間、日本へ戻らないまま中国で過ごし、娘に夫候補を紹介されたこともあって、再び妻の祖国日本へ戻ってきました。

 妻たちにとっては、日本はまさに祖国。でも、夫たちにとっては、日本は祖国ではないばかりか、戦時中の悲惨な光景と妻の存在が複雑に入り交じる心境の中、どこかで折り合いをつけて生きてきた数十年間。

 感動的だったのは、二人の夫の、
「私には中国に80数人の家族がいる。しかし、私たちの妻には、1人も親戚がいない。唯一、この姉、妹だけが彼女たちにとっての家族。そんな二人の夫同士がぎくしゃくしたらどうしますか?妻たちは困ります。私たちは妻を思えば、自然にその姉妹の夫とも仲良くしなければならない、すべて妻のためにという一心で、親しくなっていったのです。」
という言葉。

 管理人は、こんな心を持ち、妻をいたわり、その姉妹と夫をも互いに慕い合って生き抜いてきたこの二人の中国人男性はすばらしいと思うばかりか、あの夫たちを育てた親たちもすばらしい人だったのだろうと思いました。
 
 中国人の心を見せつけられた思いでした。

 思えば、昨年、管理人が万里の長城を歩いていた時、急に高いところへ、さらにハイペースでのぼったのが原因で苦しくなって、あの階段の手すりにつかまって、しゃがみ込んで、メソメソ泣いていたら、中国人観光客のおじいさんたちは、見て見ぬふりをせず、管理人の肩を叩いて慰めてくれました。

 中国人のあれこれが、とかく取り沙汰される昨今。しかし、中国人の心の原点は、あの二人の残留孤児の夫たちのようなものではないか、と思います。

 再放送があったら、もう一度みたいなぁ。。。と思う番組でした。