今朝は仕事が9時半で完了でしたので、そのまま映画館へ行きました。KANOを上映する都内の劇場の多くは今日が最終日。去年からずっと観たいと思っていた映画ですが、先月、日本で公開された後、なかなか時間がなく今日までのびのびになってしまいました。
日本統治時代の台湾代表の甲子園球児の物語です。管理人は、あまり野球に詳しくありませんが、この映画はいろいろ考えさせられるものがありました。
物語の舞台になった嘉義農業の野球部員は、日本人、中国人、台湾人(おそらく先住民族をさしていると思います)の混合チーム。他の甲子園代表校にはない選手の構成。これを、民族の違いで意思疎通をはかれるのか?と揶揄する記者の台詞がありましたが、監督は、それぞれの民族の特性をよく理解した上で、選手を育て上げ、甲子園に導いたのです。
映画の中の練習風景は、古い昔の日本そのものといった感じでした。ちょっとやそっとでくじけている場合ではない、やるという選択肢以外、何もない、そんな厳しさが伝わってきます。現代の日本の若者、子供達は、きっと1日も持たないだろうと思います。厳しさの中に監督の哲学があり、愛情がある、そんな監督と生徒達の心のふれあいは、今の若い世代の日本人にはなかなかまねができないと思いました。
嘉農の選手達は、ちょっと嬉しいと歌いだす。でも監督はあまりそれをお好みではない。。。どこか楽天的な南方の気質と、生真面目な日本人気質のコントラストがおもしろかったです。
嘉農で農業を教えている男性教員が、農場のパパイヤの畑で野球部員につぶやいたこと。
「なぜこのパパイヤがこんな大きな実を実らせることができたのか?それは、この木の根に釘を打ち込んだからだ。この木はこんなことをされたらダメになることを自覚して、ダメになる前に大きな実を実らせ、次の世代に種を残そうと、他よりも一生懸命に成長して実を付けた。そうすることにより、ごく普通のまわりのパパイヤの木も生きるのだ。」
世の中、一見無駄なようなものや事があるけれど、どれも無駄ではなく互いをいかし合っている、そんなことを考えさせられました。
嘉農で野球をやった選手達は、その後、台湾の野球界に貢献した人物が結構いたようです。
今でも台湾の野球は強いですね。
アジア地域における日本統治、占領の歴史は、何かと暗い側面が取り上げられがちですが、今日の映画のような物語もあったんだなあと思うと、管理人、ますます台湾ファンになってしまいました。